大阪府教育委員会は、来年度から複数の府立高校が土日や夏休みなどに合同で部活動をする案を、8日の府総合教育会議で示した。少子化による部員不足への対応と教員の長時間労働を改善するのが狙い。スポーツ庁の担当者は「都道府県規模で進める合同部活動の取り組みは珍しい」と話す。
部活動を巡っては来年度からスポーツ庁の主導で、公立中学校の休日の運動部活動を、民間クラブなどへ段階的に「地域移行」させる試みが本格的に始まる。
府教委の案では、全ての全日制府立高校で一緒に部活動をする高校のペアを検討する。自転車で15分以内の場所にある高校同士が対象。単独で部員数が多い高校は除く。来年度は約80校40ペアの成立を見込んでいるという。
競技経験のある1人の教員が複数校の部活動を担当することで、教員の負担を減らしつつ、部員も専門的な指導を受けられる利点があるという。特定の教員の負担増にならないように約150人の外部指導員も確保する方針だ。ペアが成立しない場合は、高校間の距離にこだわらず、学校単位ではなく部活動単位で合同練習をする。土日などの活動であるため運動部活動が主な対象となるが、文化部も可能な範囲でオンラインなどで合同で活動する。
吉村知事「1校1クラブは固定概念」
将来的には、複数校による1チームで公式大会に出場できる制度も視野に入れている。大半の競技では現状、合同チームで府大会に出場できるのは、部員不足で単独チームが組めない高校同士のみだ。近畿・全国大会への出場はほぼ認められていない。こうした状況について吉村洋文知事は「1校1クラブ制度は固定概念になっている。(改革を)やろうと思えば絶対、反対意見は出てくるが、生徒のために進めていこう」と話した。
府教委によると、単独で部員数が試合人数に満たない部活動の割合は、ラグビー部(男子)で69・0%、女子ソフトボール部で53・4%、サッカー部(男子)で18・4%、硬式野球部(男子)で16・5%など。
年間の時間外労働が360時間を超す教員の割合は全体の5割近くで、そのうち720時間を超す教員も全体の14・3%いる。(宮崎亮)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル